メタボの腹囲の新基準(男性83cm・女性77cm)はいつから?提案の中身と今の健診の基準

メタボの腹囲の新基準はいつから?

メタボの腹囲の新基準(男性83cm・女性77cm)は、2023年に研究グループが論文で示した提案です。2026年9月時点で健診の基準は男性85cm・女性90cmのままで、いつから変わるかは決まっていません。

この記事でわかること

  • 「男性83cm・女性77cm」は誰が、いつ、何のデータで出した数字か
  • 腹囲だけでなく血圧・血糖・脂質まで含めた現行基準との比較表
  • 新基準はいつからなのか。2026年3月の厚生労働省の手引きで確かめた現状
  • 腹囲が83〜85cmの男性が、健診結果のどこを見ればよいか

主な出典: Yamazaki Y, et al. J Atheroscler Thromb. 2024;31(4):382-395/厚生労働省 特定健康診査・特定保健指導の円滑な実施に向けた手引き(第4.3版)

基準が変わる前に、腹囲を自分の手で下げておきたい方へ。

結論を先に書きます

「メタボの腹囲の新基準」は、国が決めた新しいルールではありません。新潟大学などの研究グループが、約56万人の健診とレセプトのデータから導いた修正案です。

特定健診で使う腹囲の基準は、2026年3月の厚生労働省の手引きでも男性85cm以上・女性90cm以上のままです。

この記事の要点

  • 新基準案は腹囲だけでなく、血圧・中性脂肪・HDL・血糖の値もすべて見直している
  • 案では腹囲を「必ず満たす条件」から外しても、心血管病のリスクの見分けは変わらなかった
  • 男性が83〜85cmなら、今の基準では対象外。血圧・血糖・脂質の値を先に確かめる

メタボの腹囲の基準をめぐる流れ

  • 今の基準はいつ決まり、新基準案はどこにあるか
  • 2005年診断基準の策定男性85cm・女性90cm
  • 2008年度特定健診が始まる腹囲の測定を導入
  • 2023年修正案の論文男性83cm・女性77cm
  • 2026年3月国の手引き(第4.3版)男性85cm・女性90cmのまま

図:新基準は研究段階の提案で、健診の基準は変わっていません。

目次

メタボの腹囲の新基準とは誰が出した数字か

新基準の出どころは、新潟大学大学院の曽根博仁氏らの研究グループです。論文は2023年11月に日本動脈硬化学会の英文誌で公開され、大学は2024年3月に発表しました。

出典: 新潟大学「心血管疾患発症高リスク者スクリーニングに最適化したメタボリックシンドローム(MetS)診断基準の修正案を作成」(2024年3月8日)

使ったデータは、全国の健診とレセプトのデータベース(2008〜2016年)です。18〜74歳の565,079人(男性330,051人・女性235,028人)を、中央値5.2年追っています。

その間に心筋梗塞などの冠動脈疾患や脳血管疾患を起こしたのは、男性3,934人(1.19%)・女性893人(0.38%)でした。研究グループは、この発症を最もよく見分けられる値を項目ごとに探しました。

出典: Yamazaki Y, Fujihara K, Sone H, et al. Usefulness of New Criteria for Metabolic Syndrome Optimized for Prediction of Cardiovascular Diseases in Japanese. J Atheroscler Thromb. 2024;31(4):382-395

腹囲だけの話ではない

報道では「腹囲83cm・77cm」が目立ちますが、案は5項目すべての値を男女別に見直しています。腹囲だけ切り取ると、案の中身を読み違えます。

今のメタボ基準と新基準案の比較

今の診断基準は、2005年に日本内科学会など8つの学会が合同で決めたものです。腹囲が必須で、そのうえで3項目のうち2つ以上に当てはまるとメタボと診断されます。

メタボの診断基準と修正案の比較(男性)

項目今の基準(2005年)修正案(2023年論文)
腹囲85cm以上(必須)83cm以上(必須にしない)
血圧130/85mmHg以上130/80mmHg以上
中性脂肪150mg/dL以上130mg/dL以上
HDLコレステロール40mg/dL未満50mg/dL未満
空腹時血糖110mg/dL以上100mg/dL以上

メタボの診断基準と修正案の比較(女性)

項目今の基準(2005年)修正案(2023年論文)
腹囲90cm以上(必須)77cm以上(必須にしない)
血圧130/85mmHg以上120/80mmHg以上
中性脂肪150mg/dL以上90mg/dL以上
HDLコレステロール40mg/dL未満65mg/dL未満
空腹時血糖110mg/dL以上90mg/dL以上

出典: 今の基準=e-ヘルスネット「メタボリックシンドロームの診断基準」(今の基準では中性脂肪とHDLはどちらか一方で1項目)。修正案=Yamazaki Y, et al. 2024(上記論文の抄録)

一番大きな変化は、腹囲を「必ず満たす条件」から外したことです。論文では、腹囲を必須にしなくても、心血管病のリスクが高い人を見分ける力は変わらなかったと報告されています。

日本肥満症予防協会の解説によると、どの基準で判定しても、メタボと判定された人の発症リスクは2.0〜2.7倍でした。一方で、今の基準では見逃されていた女性の発症者が、修正案では大きく減るとされています。

出典: 日本肥満症予防協会「メタボリックシンドロームの新しい診断基準を提案 特定健診などの56万人のビッグデータを解析」

今の基準と修正案の組み立ての違い

今の基準(2005年)
腹囲
必須(男性85cm)
その他
3項目のうち2つ以上
男女差
腹囲だけ男女別
修正案(2023年論文)
腹囲
必須にしない(男性83cm)
その他
値を全体に厳しく
男女差
全項目を男女別に

図:修正案は腹囲の数字を下げただけでなく、腹囲を入口の条件から外しています。

メタボの腹囲の新基準はいつから?健診の基準は変わったのか

2026年9月時点で、新基準がいつから使われるかは決まっていません。国の特定健診は、今も男性85cm・女性90cmで判定しています。

厚生労働省が2026年3月に出した「特定健康診査・特定保健指導の円滑な実施に向けた手引き(第4.3版)」を確かめました。保健指導の対象を選ぶ図(階層化)は、腹囲「≧85cm(男性)・≧90cm(女性)」のままです。

出典: 厚生労働省「特定健康診査・特定保健指導の円滑な実施に向けた手引き(第4.3版)」(2026年3月・図表8 特定保健指導の対象者(階層化))

2024年度からの第4期で変わったのは「評価」

2024年度から始まった第4期の特定健診・特定保健指導で変わったのは、指導の成果の測り方です。腹囲2cm・体重2kg減を主な目標とする「アウトカム評価」が入りました。

対象者を選ぶ腹囲の線はそのままです。「メタボの基準が変わった」と耳にした場合、この評価の見直しと修正案の報道が混ざっていることがあります。

採用には検証が必要という指摘

論文と同じ号には、国立国際医療研究センターの磯博康氏の論評が載っています。対象が大企業の従業員に偏っていることなどを挙げ、採用の前に効果と費用の検証が要るという指摘です。

出典: Iso H. New Criteria for Metabolic Syndrome: Evaluation of its Effectiveness and Economy for Screening will be Needed. J Atheroscler Thromb. 2024;31(4):349-350

2026年に同じ学会誌に出た総説でも、85cm・90cmの根拠は議論が続いていると整理されています。今後の健診では、血圧・血糖・脂質のリスクの重なりをより重く見るのが望ましい、というまとめです。

出典: Uchida T, Hirata A. A Literature Review on the Waist Circumference Criteria for Metabolic Syndrome in Japan. J Atheroscler Thromb. 2026;33(8)

なぜメタボの腹囲の基準が見直しの対象になるのか

理由は大きく2つあります。

  • 女性の基準が男性より大きい:女性90cmは男性85cmより5cm大きく、内臓脂肪がたまっていても対象にならない女性が出やすい
  • 腹囲が基準未満でもリスクのある人がいる:腹囲で入口を絞ると、血圧や血糖が高い細身の人が保健指導から外れる

2つ目は男性にも関係します。2016年の厚生労働省の検討会資料では、腹囲85cm未満・BMI25未満でも、リスクを2つ以上持つ男性の循環器疾患の発症リスクは対照群の1.91倍でした。

出典: 厚生労働省 第6回特定健康診査・特定保健指導の在り方に関する検討会 資料3「腹囲(ウエスト周囲長)に関するエビデンス」(2016年5月10日)

同じ資料には、女性の基準を80cmや85cmに下げた場合の分析も載っています。基準の見直しは、2023年の論文より前から議論されてきたテーマです。

腹囲が83〜85cmの男性は何を見ればよいか

今の基準では、男性の腹囲83〜85cmはメタボの判定に入りません。ただし修正案の考え方では、腹囲より血圧・血糖・脂質の組み合わせが先に見られます。

腹囲83〜85cmの男性の確認順

  • 健診結果のどの数字を見るか
  • 1血圧130/80mmHg以上か
  • 2中性脂肪・HDL130mg/dL以上・50mg/dL未満か
  • 3空腹時血糖100mg/dL以上か
  • 4前年からの腹囲の変化増え続けていないか

数値は修正案(2023年論文)の男性の値。今の健診の判定には使われていません。

図:今の基準で対象外でも、修正案の値に当てはまる項目があれば生活を見直す目安になります。

見方の手順は次のとおりです。

  1. 今年と去年の結果票を並べる:腹囲・血圧・中性脂肪・HDL・空腹時血糖の5つを書き出します
  2. 修正案の値に当てはまる項目を数える:2つ以上なら、今の判定が「異常なし」でも生活を見直す目安です
  3. 腹囲が増え続けていないか見る:83cmでも毎年増えているなら、85cmを超えるのは時間の問題です

今の基準の数字を1つずつ確かめたい方はメタボの診断基準を読んでください。

腹囲を下げる手順は腹囲を減らす方法(40代男性向け)で、最初の1か月の動き方は「メタボ予備軍」と言われたら何から始める?にまとめています。

基準が83cmに下がっても慌てないよう、今のうちに腹囲を下げておきたい方へ。食事と運動の計画を担当者と一緒に立てられます。

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メタボの腹囲の新基準についてよくある質問

Q1:メタボの腹囲の新基準はいつから始まりますか?

決まっていません。男性83cm・女性77cmは2023年の論文で示された修正案です。2026年3月の厚生労働省の手引きでも、特定健診の腹囲の基準は男性85cm・女性90cmのままです。

Q2:新基準では男性の腹囲は何cmになりますか?

修正案では男性83cm以上になります。ただし案では腹囲を必須の条件にしていないため、腹囲が83cm未満でも、血圧・脂質・血糖の値でメタボと判定されることがあります。

Q3:なぜ女性の基準は77cmまで下がるのですか?

今の女性90cmは男性85cmより大きく、内臓脂肪やリスクがあっても対象にならない女性が多いと指摘されてきたためです。修正案では全項目を男女別に決め直しています。

Q4:今年の健診で腹囲84cmでした。心配しなくていいですか?

今の基準ではメタボの判定には入りません。ただし血圧・中性脂肪・HDL・空腹時血糖のうち、修正案の値に当てはまる項目が2つ以上あれば、生活を見直す目安になります。

まとめ:新基準は「提案」、今の健診は85cmのまま

この記事の要点

  • 男性83cm・女性77cmは2023年の論文で示された修正案。国の基準ではない
  • 2026年3月の厚生労働省の手引きでも、健診の腹囲は男性85cm・女性90cmのまま
  • 修正案は腹囲を必須から外し、血圧・脂質・血糖の値も男女別に厳しくしている
  • 83〜85cmの男性は、血圧・脂質・血糖の値と腹囲の前年差を先に確かめる

次にやることは、手元の結果票で5つの数字を書き出し、今の基準と修正案の両方に当ててみることです。どちらで見ても当てはまる項目が多いなら、腹囲を下げる計画を立てる時期です。

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※本記事は論文と公的資料をもとにした整理で、診断を目的としたものではありません。修正案は研究段階の提案です。健診結果の判断や治療については、かかりつけ医にご相談ください。

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この記事を書いた人

健康診断のたびに封筒を開けるのが怖かった、元メタボ会社員のKenです。20代後半から体重が増え続け、結果はいつも「再検査」。40歳を目前に、医師から「このままだと薬が始まりますよ」と言われて、やっと本気で動き出しました。

流行りの糖質ゼロや毎日1時間のジムは、残業続きの会社員には続きませんでした。3回リバウンドして分かったのは、続けられない方法はどれだけ正しくても意味がないということです。そこから体重や血圧、食事を記録しながら少しずつ変えて、3年で体重マイナス15kg・腹囲マイナス12cm、数値も正常に戻りました。このサイトでは、何を変えたら数値がどう動いたかを具体的に書いています。数値が気になる方は、まずかかりつけ医に相談してみてください。

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