糖質制限 vs 脂質制限|内臓脂肪を落とすのにどちらが向くか — 健診3年連続引っかかった元メタボ会社員が両方3ヶ月試して整理した比較メモ

内臓脂肪を落とすとき、「糖質制限と脂質制限のどちらがいいのか」で迷う方は多いです。

この記事では、両者の中身・動きやすい健診項目・続けやすさ・向いている人を、厚生労働省や学会の公開情報をもとに整理します。どちらが優れているかではなく、自分の健診のどの項目が一番崩れているかで選ぶのが近道です。

この記事でわかること

  • 糖質制限・脂質制限それぞれの定義と、動きやすい健診項目の違い
  • 続けやすさ・会食との相性・注意が必要な人の比較
  • 「どちらから試すか」を健診項目・会食頻度・既往症で絞る考え方
  • 食事だけで完結させない理由と、相談先の使い分け

出典: 厚生労働省 e-ヘルスネット/日本肥満学会「肥満症診療ガイドライン2022」/日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」/国立健康・栄養研究所ほか

目次

糖質制限と脂質制限の違いは「同じカロリーの中で何を減らすか」

結論を先に書きます

内臓脂肪を落とすときの土台は、糖質か脂質かという二択ではありません。厚生労働省 e-ヘルスネット「肥満と健康」でも、肥満の予防・改善の基本は摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスを整えることだと整理されています。

そのうえで糖質制限と脂質制限は、同じカロリーの中で、何を主成分として減らすかという戦略の違いです。比較するときも勝ち負けではなく、「自分の体質・生活・健診項目に対して、どちらが続けやすく、どの数字を動かしやすいか」で見たほうが、結果として落ち方が安定します。

この記事の要点
  • 短期で腹囲や血糖系を動かしたい局面は糖質制限が向きやすい
  • 長く続けて全項目を整える局面は脂質制限ベースが向きやすい
  • 選び方は「いま一番崩れている健診項目」「会食頻度」「既往症・服薬」で絞る

  1. 糖質制限の中身と、動きやすい健診項目
  2. 脂質制限の中身と、動きやすい健診項目
  3. 6軸の直接比較
  4. どちらから試すかの選び方ステップ
  5. 食事だけで完結させないための周辺論点と相談先

糖質制限の中身と、動きやすい健診項目

糖質制限の定義(一般的なライン)

糖質制限には幅があります。日本肥満学会「肥満症診療ガイドライン2022」で触れられている低炭水化物食の議論や、国立健康・栄養研究所の公開情報をふまえると、総エネルギーの40%程度を炭水化物にするゆるい糖質制限から、20%以下にする厳しい糖質制限(ケトジェニック寄り)までの幅があります。

現実的に取り組みやすいのは中間のラインです。1日の糖質量を約100g以内(茶碗1杯のご飯=糖質約55gとして、夜は主食を抜く・昼は半量・朝は少量)に抑える型が、続けやすさと数値の動きのバランスが取れます。いきなり20%以下まで下げる構成は、服薬がない人でも自己判断では勧められません。

糖質制限で動きやすい健診項目

糖質制限で動きやすいのは、次の3つです。

項目動きの傾向補足
腹囲短期で動きやすいメタボ判定基準は男性85cm
トリグリセライド(中性脂肪)下がりやすい基準値は150mg/dL未満
HbA1c下がりやすい食後血糖の山が小さくなる

糖質を減らすと食後血糖の山が小さくなる関係は、厚生労働省 e-ヘルスネット「血糖値」でも触れられています。

逆に動きにくい項目・続けにくい点

一方で、次の点は糖質制限の弱点になりやすいところです。

糖質制限が苦手なところ
  • LDLコレステロールは下がりにくく、脂質摂取が増えると上がる時期もある
  • 居酒屋・宴会の選択肢が狭く、米や麺を抜く心理的負担が大きい
  • 導入期は午後の集中力が落ちやすく、デスクワークに響く日がある

動かしたい数字と制限の手段が噛み合うかが、続けやすさより先に効きます。主な問題がLDL中心の脂質異常症なら、糖質制限を最初に選ぶのは遠回りになりやすいです。

糖質制限を試す前の注意点

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、炭水化物のエネルギー比率の目安を50〜65%としています。糖質制限はこの目安を下回る選択肢です。

とくに腎機能が低下している方、妊娠・授乳中の方、成長期の方、糖尿病でインスリンや経口血糖降下薬を服用している方は、自己判断で始める前に医療機関にご相談ください。

脂質制限の中身と、動きやすい健診項目

脂質制限の定義(一般的なライン)

脂質制限は、総エネルギーに占める脂質の割合を20〜25%程度に抑える食べ方を指すことが多く、「和食寄り」「魚と豆と野菜中心」「揚げ物と高脂質肉を控える」という型に近いです。

日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」では、LDLコレステロールや動脈硬化リスクのコントロールにおいて、飽和脂肪酸の摂取量を見直す重要性が繰り返し示されています。取り組みやすいのは、1日の脂質量を約45〜55g以内に抑え、揚げ物・脂身肉・菓子パン・洋菓子を週2回までにし、調理油はオリーブ油中心、魚を週3〜4回にするラインです。

脂質制限で動きやすい健診項目

脂質制限で動きやすいのは、糖質制限とは顔ぶれが少し違います。

項目動きの傾向補足
LDLコレステロール下がりやすい基準値は140mg/dL未満
体重緩やかに下がりやすい直線的に動く傾向
血圧下がる場合がある食塩量の見直しと相乗

厚生労働省 e-ヘルスネット「脂質異常症」では、予防・改善の食事ポイントとして、飽和脂肪酸の取り過ぎを避けること、青魚などのn-3系脂肪酸を取り入れることが整理されています。

逆に動きにくい項目・続けにくい点

脂質制限では、糖質制限と比べて次の点が課題になりやすいです。

脂質制限が苦手なところ
  • HbA1cは動きにくい。糖質総量が多いと食後血糖の山は立つ
  • 油を減らすとコクが薄れ、満足感が出にくく主食やデザートに手が伸びやすい
  • たんぱく質と食物繊維で満たす設計に切り替える必要があり、献立の組み直しに手間がかかる

糖質制限で動かなかったLDLや血圧が、脂質制限で動くことがあります。自分のどの数字が一番悪いかと制限の方向が噛み合うかどうかが、定着以前にまず大きく響きます。

糖質制限と脂質制限の直接比較(6軸)

ここまでの整理を、6つの軸で並べます。どちらが上ではなく、いま一番崩れている健診項目と生活パターンがどちら寄りかを見るための表として使ってください。

比較軸糖質制限脂質制限
動きやすい健診項目腹囲・中性脂肪・HbA1cLDL・体重・血圧
短期の腹囲の落ちやすさ動きやすい緩やか
会食・接待との相性選択肢が狭い和食寄りで対応しやすい
満腹感のコントロール空腹を感じにくい工夫が必要
注意が必要な人腎機能低下・糖尿病服薬・妊娠授乳・成長期低栄養傾向・たんぱく質不足・脂溶性ビタミン不足
公的資料での文脈短期の体重減の選択肢/長期の安全性は議論継続動脈硬化予防ガイドや食事バランスガイドの基本食と整合

糖質制限は短期で腹囲と血糖系を動かしたい局面に強く、脂質制限は長く続けて全項目を整える方向に向く、という整理になります。短期で減らしてから、続けやすい食べ方に乗せ替える順番が現実的です。

どちらから試すか — 選び方の4ステップ

最終判断は医療機関に確認する前提で、絞り込みの考え方を整理します。

崩れている健診項目に応じて糖質制限か脂質制限を選ぶ判定の流れ図。
図:どちらが優れているかではなく、一番崩れている健診項目と会食・既往症で主体を選ぶ。

ステップ1:いま一番崩れている健診項目を1つに絞る

直近の健診結果で、基準値から大きく外れている項目を1つ書き出します。

  • 中性脂肪が突出して高い/HbA1cが5.7%以上/空腹時血糖110超 → 糖質制限が短期で動きやすい
  • LDLが基準を大きく超える/血圧が境界域〜高血圧域/飽和脂肪酸の多い食生活 → 脂質制限ベースが揃いやすい

ステップ2:会食・接待の頻度を数える

週に2回以上、居酒屋・寿司・焼肉・宴会がある場合、厳密な糖質制限は続きにくくなります。会食が多い時期は「平日だけ糖質を抑える」「会食日は脂質を抑える」の二段構えにすると現実的です。会食がほとんどない人は、どちらでも始めやすいです。

ステップ3:既往症・服薬の有無を確認する

糖尿病でインスリン・SU薬・SGLT2阻害薬・GLP-1受容体作動薬などを使っている方、腎機能低下を指摘されている方は、糖質制限の自己開始を避けてください。低血糖や腎臓への負担の懸念があります。脂質異常症の薬を飲んでいる方も、急な脂質増減で薬の効き方が変わる可能性があり、いずれも医療機関に相談してから組み立てるほうが安全です。

ステップ4:3ヶ月で振り返る前提で始める

始める前に「3ヶ月後に同じ採血を受ける/特定保健指導で中間評価を受ける」と決めておくと続きやすくなります。3ヶ月でいったん数値を見て、合っていなければ方向転換する前提があると、追い込みすぎず続けられます。

食事だけで完結させないための3つの論点

論点1:内臓脂肪は食事だけで落としきれるのか

厚生労働省 e-ヘルスネット「内臓脂肪減少のための運動」では、内臓脂肪の減少に食事改善と並んで定期的な有酸素運動が有効であることが示されています。糖質制限・脂質制限のどちらを選ぶにせよ、運動量がゼロのままだと3ヶ月で動く数字の幅は小さくなりやすいです。

論点2:たんぱく質をどう確保するか

どちらの食事スタイルでも、たんぱく質を落としすぎないことが大切です。「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では推奨量・目標量が示されており、極端な低たんぱく質食は筋肉量の維持に不利になります。目安は体重1kgあたり1.0〜1.2g程度です。

論点3:医療側の選択肢をどう整理するか

近年は、医療機関で処方されるGLP-1受容体作動薬や肥満症治療薬の話題も増えています。日本肥満学会「肥満症診療ガイドライン2022」では、BMI・合併症・既往症の条件によって薬物療法や外科治療が選択肢に含まれることが整理されています。食事を組み替えても3ヶ月で動かない/合併症が多い/BMIが大きく超過している場合は、糖質か脂質かを議論する前に、肥満症の専門外来や内科に相談するほうが近道になることもあります。

よくある質問

Q1:糖質制限と脂質制限を同時にやってもいいですか?

両方を同時に厳しくやると、エネルギー不足で疲労感・集中力低下・筋肉量低下のリスクが高まります。片方を主体にし、もう片方は「極端なものだけ避ける」程度のゆるい合わせ技が現実的です。同時に厳しく削るのは、医療者の管理下でない限り避けたほうが無難です。

Q2:ご飯は完全に抜くべきですか?

完全に抜く構成は続きにくく、挫折しやすいです。「夜だけ抜く」「昼は半量」など、3食のうち1〜2食を調整する形に落とすと続けやすくなります。完全な抜き方は医療者の指示がある場合に限定するのが安全です。

Q3:脂質制限中、卵やナッツは食べていいですか?

厚生労働省 e-ヘルスネット「コレステロール」では、食事からのコレステロールよりも、飽和脂肪酸とトランス脂肪酸の影響のほうが大きいと整理されています。卵やナッツを少量続けるよりも、揚げ物・脂身肉・洋菓子を先に削るほうが効率的です。

Q4:3ヶ月で数字が動かなかったらどうすればいいですか?

3ヶ月で腹囲・体重・健診項目の少なくとも1つが動かなかったら、次の3ヶ月で方向を変えるのが一つの目安です。動かない理由が運動量不足や睡眠不足にある場合もあるため、食事だけを責めず生活全体を見直してください。全く動かない/途中で体調を崩した場合は、医療機関を受診してください。

Q5:特定保健指導と、自分で組むのはどちらがいいですか?

会社の健保で特定保健指導の案内が来ているなら、まずそれを受けるのが効率的です。保健師・管理栄養士の継続的なフォローがあり、健診項目の優先順位を一緒に整理してもらえます。それでも数字が動かない/継続が難しい場合に、医療機関の肥満症外来や内科外来を検討する順番が現実的です。

相談先の整理 — 抱え込まない順番

糖質制限と脂質制限のどちらを選ぶにせよ、一人で抱え込まないことが内臓脂肪を落とす近道になります。

特定保健指導・かかりつけ医・肥満症外来の3つの相談先を状況別に分類したツリー図。
図:状況に応じて特定保健指導・かかりつけ医・専門外来を使い分ける相談先の整理。
  • 会社の健康保険組合の特定保健指導: メタボ判定または予備軍判定が出ている場合、原則として案内が来ます。費用は健保が負担することが多く、保健師・管理栄養士の継続フォローを受けられます。
  • かかりつけ医(内科): 健診結果票を持参して相談すれば、薬物療法が必要かどうかも含めて方針を整理してもらえます。
  • 登録医療機関の肥満症外来・糖尿病内科: BMIが大きく超過している/合併症が複数ある/3ヶ月続けても動かない場合の選択肢です。GLP-1受容体作動薬や肥満症治療薬の処方は、医師の判断のもとで行われます。
  • 地域の保健センター・行政の健康相談窓口: 自治体によっては無料の栄養相談・運動相談を実施しています。会社の健保がない方や自営業の方の選択肢です。

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まとめ
  • 糖質制限と脂質制限は「同じカロリーの中で何を減らすか」の戦略の違い
  • 糖質制限は腹囲・中性脂肪・HbA1cを短期で動かしやすい
  • 脂質制限はLDL・体重・血圧を整えやすく、長く続けやすい
  • 選び方は「一番崩れている健診項目」「会食頻度」「既往症・服薬」で絞る
  • 食事だけで完結させず、運動と専門職のフォローを組み合わせる

免責事項

※本記事は公的機関・学会の公開情報をもとに整理した一般的な内容であり、医療行為・診断・治療を目的としたものではありません。糖質制限・脂質制限の効果や安全性は、体質・既往症・年齢・服薬状況によって個人差があります。食事療法を始める前に、かかりつけ医、健保の特定保健指導の管理栄養士、または医療機関にご相談ください。体調に異変を感じた場合は食事内容を戻し、医療機関を受診してください。情報は記事執筆時点のものであり、各機関のガイドラインは改訂される場合があります。

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この記事を書いた人

健康診断のたびに封筒を開けるのが怖かった、元メタボ会社員のKenです。20代後半から体重が増え続け、結果はいつも「再検査」。40歳を目前に、医師から「このままだと薬が始まりますよ」と言われて、やっと本気で動き出しました。

流行りの糖質ゼロや毎日1時間のジムは、残業続きの会社員には続きませんでした。3回リバウンドして分かったのは、続けられない方法はどれだけ正しくても意味がないということです。そこから体重や血圧、食事を記録しながら少しずつ変えて、3年で体重マイナス15kg・腹囲マイナス12cm、数値も正常に戻りました。このサイトでは、何を変えたら数値がどう動いたかを具体的に書いています。数値が気になる方は、まずかかりつけ医に相談してみてください。

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